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「プリンス&プリンセス」~海の野うさぎ

category: movie  

このストーリー、よく出来てるなあと思います。
ミッシェル・オスロ監督の創作によるところが大きいと思われますが、監督自身がDVDの作品解説で、下敷きにした物語を挙げています。

Chapltre1「プリンセスとダイアモンド」
これは既存の話でも、完全な創作でもない。また昔話でもないと語られています。
が、多くは昔話によくみられるモチーフが核となって使われています。
たとえば、呪いによって石にされた王女を救う青年というモチーフ。
またたとえば、おおぜいの求婚者が次々と失敗して死ぬ。あるいは、何かに変身させられるというモチーフ。
そしてたとえば、指輪などの宝物や小さいものを草原や海などに落としてしまう。あるいはそれを探さなければならない課題を与えられる。すると、以前助けてあげた小動物が探して見つけてくれる。
これも昔話によく見られるモチーフですね。
グリム童話「白いへび」では、穀物のきびが大量にパラパラと草原にまかれ、それを時間内にすべて拾い集めなければならないという課題が与えられます。
すると、主人公は以前救ってあげたアリの王様(←女王ではないんですよねえ)のおかげで、アリたちがみんな拾い集めて助けてくれます。
ここでは、アリたちが拾い集めるのはきびではなくダイアモンドですが、草原の中をキラキラ輝く粒が拾い集められていく様は、映像的にもよく考えられているなあと思います。

Chapltre2「少年といちじく」
これは、
(1)エジプトのヒエログラフ(象形文字)で書かれた物語
を、かなり忠実にたどっているとのこと。
作品では、ハトシェプスト女王の例をふまえて、ファラオを女性に替えていますが、原典では男性だそうです。
それで、エジプトの神話とか、「二人兄弟の話」をパラパラ当たってみたのですが、この原典が何の物語かわかりませんでした。
行政官が命令書を偽って届けるというモチーフは、かたちやアレンジはずいぶん違いますが、使者と手紙が登場する「書き替え型」として世界中に見られる昔話のパターンにちょっと似ていると思います。
日本では、「沼神の文使い」「水の神の文使い」「河童の手紙」などの一連の昔話ですね。
このエピソードの筋はシェイクスピアにも見られるそうなのですが、さて、どの戯曲でしょう?

Chapltre3「魔女」
これは、まったくの創作だそうです。
城の中に固く閉ざされた女性を、攻撃によってではないやり方で、心開かせる──といった展開は「キリクと魔女」を思い出させます。

Chapltre4「泥棒と老婆」
これは、12世紀の日本の昔話。寺と僧侶が出てくる物語が元になっているとのことで、僧侶を老婆に替えたのだそうです。
12世紀といえば、「今昔物語」。昔話ではありませんが、昔話にちょっと似ている“説話”集。これは、いかにも今昔物語にありそうな話のような気がします。
で、探したらありました。
「比叡山の実因僧都の強力(ごうりき)の語(こと)」(巻第二十三、第十九)
お坊さんで力持ちといったら、弁慶にしろ水滸伝の魯智深にしろ珍しくはないようですが、この実因さんもスゴイ。
弟子の若いのが悪戯して昼寝中の実因さんの足の指にくるみをはさみました。
右足指5本のあいだに4個、左足指5本のあいだに4個。
と、狸寝入りをしていた実因さん、伸びをしながらウンと力を入れると、計8個のくるみが「はらはらと」砕けてしまったというから、くるみ割り人形もビックリです。

さて、ある時、この実因さんが加持祈祷に出かけた帰りの晩、お供の坊さんたちとはぐれたところへ、ひとりの男がやってきて背負って送ってあげましょうと親切に言う。
と思ったらそれは泥棒で、実因さんの着物を盗もうという追い剥ぎ。
ところが実因さん、背負われたまま、
「飛騨の山中に籠ること十余年、あみ出したるこの技、カニバサミ。もがけばもがくほど体に食い込むわ!」
と、言ったか言わなかったかは知らねども、なにしろ池乃めだかさんもビックリのカニバサミで男を締め付けた。
すると男は、
「目抜け、腰切れ候ひぬべし(目玉が飛び出し、腰が切れてしまいそうです)
と、切なげな声で許しを請うたそうです。
このあたりはアニメと同じですね。

アニメのおばあさんと同じく、実因さんも泥棒に負ぶさったまま、脅して連れ回します。
宴の松原で月見がしたい」といっては歌詠みに興じ、
右近の馬場に行ってみたいな」といっては連れ回し、
喜辻の馬場、そして西宮と、一晩中、歩かせたそうです。
一方、アニメのおばあさんが連れ回したのは、松原桜の馬場霜降の滝富士山でしたね。そして、おばあさんの家があるのが西宮でした。
これは、原典の地名や、たぶんオスロ監督お気に入りの名所の地名が寄せ集めで使われているのでしょう。

ちなみに、霧降の滝の場面で使われている北斎の絵は、「木曽路ノ奥阿弥陀ヶ滝(諸国滝巡り)」だそうです。

松原桜の馬場という地名は全国にあるようですが、たとえば松原が“宴の松原(京都の古い地名)”ではなく“三保の松原(静岡市)”で、桜の馬場が“沼代桜の馬場(小田原市)”だと仮定してみましょう。
が、そこから、アニメの通り、日光の霧降の滝(栃木)、富士山と巡るのは尋常な脚力ではありません。
さらに、朝のうちに神戸の西宮まで帰ろうというのですから、たぶん泥棒はおばあさんを背負って新幹線に飛び乗ったに違いありません。

ちなみに、当時、着物は高価なもので、泥棒がふつうに狙ったんだそうです。
盗人の元祖のような怪盗袴垂(はかまだれ)も、豪傑の着物を盗もうとしたことが「今昔物語」に書かれています。
アニメでは、おばあさんが身につけているのは、売ったら一財産が出来るような肩掛けという設定で、いかにも泥棒が狙いそうなものでした。

また、このエピソードは、
(2)葛飾北斎の浮世絵画集にあった、未亡人の物語
も、参考にしているとのこと。
おそらく北斎が挿絵を描いた読本(よみほん)のひとつではないかと思うのですが、わかりません。

Chapltre5「冷酷なプリンセス」
この未来のSF的な物語は、DVDでオスロ監督に、グリム童話の「海の野うさぎ」を元にしたと語られています。
でも、グリムにそんな話あったっけと思いつつ、いや、かくれんぼみたいなこんな話は確かどっかで聞いたよなあと思いつつ、確認してみたら、ありました。
グリム童話「あめふらし」
で、あめふらしという言葉を辞書でみると、あの二本の触角をつのに見立てて「うみうし」「うみしか」と呼ばれたり、耳に見立てて「うみうさぎ」と呼ばれたりもするんですね。
英語では、「sea bare(海の野うさぎ)」ともいうそうです。
おそらく仏語でもそんな呼び方をするために、DVDでは、それがそのまま訳されてしまったのでしょう。
グリムの「あめふらし」では、若者は小さなあめふらしに変身してお姫様に買われて部屋に行き、なんとお姫様の髪の中に隠れます。
髪の中にあのヌルヌルのあめふらし!……というのは、とってもとっても突き抜けた発想のように思えますねえ。
これはやっぱりアニメのように、若者が変身するのはウタドリでよかったなあと思います。

ちなみに、この物語って、出久根育さんの独特の絵で絵本になってるんですね(「あめふらし(絵本グリムの森)」天沼春樹訳、パロル社http://www.bk1.co.jp/product/2099026)。
中世の薫り漂う絵本と、未来にアレンジされたこのアニメを見比べてみるのもおもしろいかもしれません。

Chapltre6「プリンスとプリンセス」
これも、創作。
キスをすると変身したり生き返るというのは、ヨーロッパ昔話の定番ですが(日本の昔話にキスは出てきませんね)、ここまで変身しちゃうとキスもうかうか出来ません。
ただ、クジラになれるんだったら、こんなキスもいいかもしれませんね。
ただし、捕鯨船の来ない海の上で。

というわけで、上記の(1)(2)の物語は、パラパラッと調べただけではわかりませんでした。
どなたか心当たりのある方、教えてもらえないでしょうか(←他力本願)。




追記

「少年といちじく」のストーリーに似たような骨格が見られるというシェイクスピアの戯曲がわかりました。
何のこたぁーない、「ハムレット」。
デンマークの王子ハムレットは、邪(よこしま)な王の命令でイギリスに遣わされます。
が、その親書にしたためられていたのは、使いであるハムレットを処刑してほしいというイギリス王への依頼。
それを知ったハムレットは親書を書き替え、目付役である二人の供(ローゼンクランツとギルデンスターン)を処刑せよという文面にするわけです。
そうしてハムレットは、航海の途中でデンマークへ戻り、ローゼンクランツとギルデンスターンは、あわれ、イギリスの地の露と成り果てたのでした……。
「ハムレット」は、昔何度か読んではいたのですが、このくだりはすっかり忘れていました。

ちなみに、同じシェイクスピアの「アントニーとクレオパトラ」では、エジプトの女王クレオパトラにいちじくの貢ぎ物をする男が出てきます。
実は、その籠に入っていたのはいちじくではなく毒蛇。その後、歴史的な美女は自殺のためにその毒蛇を使い、非業の死を遂げます。
シェイクスピアのネタ本である「プルターク英雄伝」~アントーニウス~でも、やはりクレオパトラは、いちじくと木の葉の間に隠して持って来られた毒蛇によって命を落としたという説が紹介されています。
いちじくの貢ぎ物というモチーフは、エジプトではおなじみなのでしょうか。
エジプトのファラオも女王様も、よっぽどいちじくがお気に入りとみえます。

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2006_06_13

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